江國香織『ホリー・ガーデン』(新潮文庫)

ホリー・ガーデン (新潮文庫)

ホリー・ガーデン (新潮文庫)

不思議な空気感が流れる一冊。ゆったりした、それでいてちょっとだけ緊張感の漂う日々の生活の実感を非常に上手に描いていると思う。


個人的には果歩が自分の指のマニキュアを眺めて自分が大人だと思うっていうエピソードが好き。そうしないと自分が大人だと思えない、というのは同じく大人としての実感が全くない自分に非常に共感できるのでした。

あとケータイがないことにちょっとした違和感を覚える。1994年の小説だからね。たった10年ちょっとで通信手段がここまで大きく変わってしまったということに軽い衝撃を覚える。

江國香織って初めて読んだけど非常におもしろかったです。また読みたい。