樋口雄一『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP新書)

頭がいい人、悪い人の話し方 (PHP新書)

頭がいい人、悪い人の話し方 (PHP新書)

まず、何よりも本のタイトルの付け方にセンスを感じる。このタイトルを付けた人物は天才だ。本の内容自体はただの「バカに見える話し方」でしかない。が、こんなタイトルではおそらく売れない。『頭がいい人、悪い人の話し方』とすることで読者に「自分も頭がいい話し方ができるようになるかもしれない」と思わせることができる。そのことがこの本の爆発的ヒットの一因であろう。

内容的にも読んでみると自分に思い当たる節がいくつもあり、耳が痛い。とくに中途半端な知識でえらそうなことを言う人物を指す「半可通」という言葉はまさに私のことであろう(^^; その他にも優柔不断であることやぐずぐずと話してしまう点などはこの本を読んで改善したいと思った。

が、同時にもしこの本の全てを実践するとなったら、まともに会話ができる人物はほんの一握りになってしまい、ほとんどの人は言葉を一言も発せなくなってしまうだろう。内容のないとりとめのない会話こそが会話の土台であるということを、この著者は忘れていないだろうか。